2 女女は言う。「あなた、宝くじ買ったことある?」 「ジャンボとか買いますよ。でも、そんなには買わないなあ。」 「あなたの会社は、新宿だったわね」 「そうですよ。なんで知ってるんですか?」 「あなたの会社の近くにみつば銀行あるわね。そこから100メートルほど離れたところに、ボックス型の売場がいくつかあるけど、そのうちね、一番、銀行から離れたところにある売場、わかる?」 「あったような気もするが、記憶にないですよ。」 「眼鏡をかけたおばさんが売っていて、その売場に赤と白の招き猫がかざってあるわ」 「そこで、あしたから発売される宝くじから1億円の当たりくじがでるわ」 サラミを口に入れた手がとまった。 「ついでに言うと、そこの売場で朝一番、一番うえに置かれたスクラッチくじ、100万円があたってるわよ」 「そして、あと二週間後、地球は滅びる」 「ちょっと待ってくれ、それがなんで俺の為になるんだ。地球が終わるなんて。お金があっても意味ないじゃないか」 「でもね、あなた、滅びるのを知ってるのは、あなただけなのよ。意味、わかるわね。そして手元におかねもある。」 「そうだ、あと、最後の一つね」 「最後って、あと二つじゃないですか?」 どうにでもなれっていう開き直りも多少 あった。女は、そんな感情を無視するかのように続けた。 「あす、あなたが最初に会話をかわす女性を大切にしなさい。いま、言ったなかで、一番、大事かもしれないわね」 「どういうことですか?あした朝、一番に話をする女性なんて。駅で新聞買うとき、ここ置くよっていったら、キオスクのおばちゃんが大事ってことになるんですか?」 「つべこべ言わないの。じゃ、そろそろ朝よ」 その声を聞いたのと同時くらいか、目覚まし時計が鳴った。 ジャンル別一覧
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